この物語ができるまで
「魔の島のシニフィエ」成立過程
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- かなり前、創作系のサークルの会誌である小説を書いた。
突然「光の象徴」と名乗り、「闇狩り」と称して人を殺す狂信集団を結成した弟。誰にも止めることのできない弟を止めるべく狙撃する兄=主人公。弟を撃った瞬間、世界が闇に包まれる。弟は本当に「光の象徴」だった。そしてその彼を撃つことができた主人公は、自分が「闇の象徴」であることを知る。本来対立するものではないただの「状態」が、人の「光=善、闇=悪」のようなイメージを受け、「光の象徴」は自身を「絶対的な善」として、誤った形で「闇」の粛清を行うようになってしまったのだ。
……って、自分で言うのもなんだけど、光だ闇だと難しすぎる。光とか闇とか、それ自体はただの現象でしかないのに、人が勝手に善悪のイメージを与えてしまう、そういうことに異議を申し立てたかったけど、ちょいと手に負えなかった。ので短編小説1本で放置。
- 何年か後になってパソコン通信でTRPG風リレー小説の企画(参加者がマスターの設定した場所に自分のキャラを登場させてその行動を小説風に書いていく…というもの)
に参加した。
「ベルサニア戦記」の某キャラを参加させていたのだが、そのうちに別IDでもう1人参加させた。
「ちょっと間が抜けている盗賊、だが実は多重人格で、狂信者に魔王として崇められる「生命の摂理」の力を持つ」という設定。
他人の勝手なイメージを受けて、自分の性質が変化してしまう、そんな人間。放置していた「闇の象徴」君の話がベースになっている。「闇」よりは「死」の方が、人に説明しやすいと思ったのだ。
んなわけで、ディング&ガルト誕生。魔法の設定を書き進める間に、過去の話(意志を持つ力)も書いて披露。ちなみに記号魔法の元ネタは「ダンジョン・マスター」というゲーム。
- 企画が終了したものの、そこで終わりにしてしまうにはもったいないほどにキャラが育っていたので、続きを書く。 没の山(ランディとデューイの往復書簡とか、ユジーヌに心酔する下級司祭の日記とか、ケレスにやって来るユジーヌとか……)がハードディスクに眠っている。
- ヘスクイル島の物語は完全にオリジナルなのだが、ガルトが脱出してから帰還するまでについては、上記のパソコン通信の企画である程度進んでいた。つまり、他の人が作った世界観や舞台で、他の人のキャラとのやり取りがからんでいた。
これでは小説にできないので、 オリジナル設定と展開に作り直す。これが「交差の地」になる。
(幸い謎の道具屋さんは私のキャラだったので、そのままのやりとりを残したところもある。また、某キャラとガルトとの接点は、いずれ書く)
ただ一つ、オリジナルではないものが残っていることを白状しておこう。ヘスクイル島の俗称「ダーク・ヘヴン」を命名したのは、上記の企画のマスターだった人。
- 某ゲームのファンサークルで、自分のキャラを紹介するコーナーがあった。そこで紹介しつつ反応をもらい、それを勢いにして書き進め、無事完成。
思えばいろんな人の反応が、この小説を完結させる原動力になった。感謝。