これは、ごくふつうの成長物語です。 閉ざされたところで守られてきたけれども、その守りが破れた時、互いを守ろうとして自らを成長させた、子供達のお話。

 この世界では、人は高い防壁に囲まれた村に住んでいます。村の中には人と家畜だけがいて、人は生まれつき決まった職業について暮らします。村を治め、記録を管理する「長」。畑や果樹園で作物を育てる「耕人」。糸を紡ぎ布を織る「織師」。そして村人を外敵から守る「盾」……。

 人と家畜以外の生物を「獣」と呼びます。「獣」は村には入れず、村の外は「獣」の領域です。「獣」が多く危険なため、他の村との往来はほとんどありません。

 主人公ユァンは15歳になる「盾」の少年。物静かなためか、幼なじみたちに振り回されてはいましたが、ともかくも平和な日々を送っていました。
 たったひとつ、彼を悩ませていたこと。それは自分が「人間ではない」と思えてならないことでした。

 そんなある日、その事件は起きたのでした……。

2004/12/15 全面改訂しました

 

続編を書く気はありますが、いつになるかわからないので(催促があれば調子に乗って書くかも) 、一応完結作品扱いにしています。